諏実
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    逍遙歌

    憶えや諏訪の湖の 岸に科の葉芽ぶく時 東八ケ嶺霧ケ峰 西アルプスの雪白し
    雲行きなずむ山々の 高きを仰ぎ七百の 清き思と憶憬を その葉がくれに語らうを
    水に映れる高島の 城の夕べの花嵐 橋ふみならしとめ来れば 兵どもが夢の跡
    古石垣に身を寄せて 栄枯の跡を偲ぶにも いかに住むべき此の世かを 深き思索悟るらん
    若し夫れ湖に日は落ちて 衣の渡に歌舞の声遠く 山路をちぎるほととぎす 一声裂きし雲の間に
    北斗の轅仰ぐ時 秘めし宇宙の理を 究めつくさで息まめやと 胸にちかいひの緒を結ぶ
    衣ケ崎の朝ぼらけ 光をもたらす雲裂けて 天ぎは遠き富士の嶺を ひたせる波もいざよひつ
    漁夫の小舟の歌枕 一笠一衣先哲の 求道の跡の偲ばれて 若き血汐の湧き返る
    秋温泉寺の山にたけ つく鐘の音も時雨るれば 御堂の壁に爪たてて 愛理を書きしすさびさへ
    闇に迷へる人の子の 無明を照らす大慈光 地蔵の誓ちぎりてん 愛宕の山に月円し
    冬逍遥の月細く 初雪白し霧ケ峰 星の声なし声ありて 雁落つ方はいづ方ぞ
    夜目にもしるき島崎の 入江に集ひ陸ぶごと 結びし団結いや固く 学びの道に励まなむ
    アセンの宮にますといふ 学芸の神の手すさびや 氷を磨き行きを積み 創りで出だせり諏訪の冬
    玻璃鏡なす湖の 夕ばえすればとき色に 神秘の扉照らされぬ いざや叩かむその扉