逍遙歌
1 |
憶えや諏訪の湖の |
岸に科の葉芽ぶく時 |
東八ケ嶺霧ケ峰 |
西アルプスの雪白し |
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雲行きなずむ山々の |
高きを仰ぎ七百の |
清き思と憶憬を |
その葉がくれに語らうを |
2 |
水に映れる高島の |
城の夕べの花嵐 |
橋ふみならしとめ来れば |
兵どもが夢の跡 |
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古石垣に身を寄せて |
栄枯の跡を偲ぶにも |
いかに住むべき此の世かを |
深き思索悟るらん |
3 |
若し夫れ湖に日は落ちて |
衣の渡に歌舞の声遠く |
山路をちぎるほととぎす |
一声裂きし雲の間に |
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北斗の轅仰ぐ時 |
秘めし宇宙の理を |
究めつくさで息まめやと |
胸にちかいひの緒を結ぶ |
4 |
衣ケ崎の朝ぼらけ |
光をもたらす雲裂けて |
天ぎは遠き富士の嶺を |
ひたせる波もいざよひつ |
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漁夫の小舟の歌枕 |
一笠一衣先哲の |
求道の跡の偲ばれて |
若き血汐の湧き返る |
5 |
秋温泉寺の山にたけ |
つく鐘の音も時雨るれば |
御堂の壁に爪たてて |
愛理を書きしすさびさへ |
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闇に迷へる人の子の |
無明を照らす大慈光 |
地蔵の誓ちぎりてん |
愛宕の山に月円し |
6 |
冬逍遥の月細く |
初雪白し霧ケ峰 |
星の声なし声ありて |
雁落つ方はいづ方ぞ |
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夜目にもしるき島崎の |
入江に集ひ陸ぶごと |
結びし団結いや固く |
学びの道に励まなむ |
7 |
アセンの宮にますといふ |
学芸の神の手すさびや |
氷を磨き行きを積み |
創りで出だせり諏訪の冬 |
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玻璃鏡なす湖の |
夕ばえすればとき色に |
神秘の扉照らされぬ |
いざや叩かむその扉 |